わが国の公営住宅が社会福祉的性格より

わが国における公営住宅の性格に関しては,戦後の住宅政策と関連させてみ
ると荻田・リム(1989)は次のように述べている。「日本の公営住宅建設が
『戦災都市応急簡易住宅建設要綱』(1945(昭和20)年)で始められ,1946(昭和21)年からは公共事業として国庫補助庶民住宅が年間4万戸程度建設さ
れ」(p.42),この事業に法的な根拠と恒久性・計画性を持たせるために1951(昭和26)年に公営住宅法が公布された。また,公営住宅の応急的,福祉的性
格3)については「当初から日本の住宅政策は基本的には持ち家取得を促すこと
を目的とし,公営住宅は国民すべてが持ち家を取得するまでの一時的な仮の住
まいを提供するものに過ぎなかった」。

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住宅政策と社会福祉政策との関連から公営住宅の歴史を概観した結果,荻
田・リム(1989)は「戦前の取り組みに比べて,戦後の建設省による公営住宅
政策は福祉政策とはほとんど対応していない」(p.44)と指摘し,この原因を
「公営住宅の性格が戦前の不良住宅地区改良を主とするものから,戦後復興と
都市化のもとでの低家賃住宅の大量建設へと拡大された結果」(p.44)とみて
いる。つまり,これらの文脈からわが国の公営住宅が社会福祉的性格より採算
を重視した住宅経営を主眼としていたことが読み取れる。

しかしながら,公営住宅入居者に関する研究の成果から,わが国の公営住宅
は住宅経営と同時に福祉的性格もある程度果たしてきたのではないかとみるこ
とができる。例えば,公営住宅居住者や世帯の特性に関する事例研究において,
玉置(1976a,b,c)は名古屋市や中部地方の地方都市を事例として公営住宅居
住世帯の職業構成,収入階級における「沈澱層」の存在や多人数世帯や高齢化
などの諸問題の存在を明らかにしている4)。

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